Category : マネックス

1週間前

決算集計速報 最終版 決算発表で急伸・急落した銘柄は

先月下旬からスタートした3月決算企業の第3四半期決算発表は先週末がピークで500社以上の企業が一日で決算を発表しました。そのため今週は決算発表を行う企業が一気に減少しますが、そうしたなかでTOPIX500採用銘柄に限ると昨日で全ての企業が決算発表を終えました。そこで今回は早速13日と14日の決算発表をTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に集計してみました。

そのなかで株価が大きく上げたのが日本製鋼所(5631)で、通期の利益見通しを上方修正したことに加え、創立110周年に伴う記念配当の実施を発表したこともあって決算発表翌日に株価は急伸し10%余り上昇しています。一方で株価が急落したのが三菱マテリアル(5711)で、子会社でのデータ不正問題の影響などで業績予想を下方修正したことで9%近い下落となっています。

1週間前

2018年版 疾風に勁草を知る 

「疾風に勁草を知る」というタイトルのレポートを書いたのは2015年6月だった。日立製作所をフィーチャーし、また富士フイルムを「勁草」の代表例と取り上げた。

危機に直面してこそ真価が問われるという意味の「盤根錯節に逢わずんば何をもって利器を分かたんや」という言葉も併せて記した。

日本株市場に怒涛のような疾風が吹いている。NYダウの665ドル安を受けて始まった先週月曜からの下げ幅は2000円を超えた。しかし、この間に逆行高している銘柄がわずかだが存在する。強い風になぎ倒されることなく、しっかりと立っている草が「勁草」である。日本株市場に吹いている疾風は、どの企業が「勁草」であるのかをわれわれに教えてくれる。

日経平均を構成する225銘柄について、2/2を起点として2/14の終値までの騰落率上位10社を見ると、トップは資生堂の+8%。2位が東海カーボンで、以下、協和発酵キリン、三菱重工、SUBARUとここまでがプラスリターンだ。好決算で大幅高した5位の宇部興産は行って来いで、この期間中のパフォーマンスはちょうど0%だった。

三菱重工、SUBARUは昨年来パフォーマンスが低迷したことの反動、リターン・リバーサルか相場急変時におけるショート・カバーの影響だろう。2位の東海カーボンは材料株物色の色彩が強く継続性が疑問。それらに比べると、1位の資生堂はどこからみても間違いなく本物の「勁草」である。

生え抜き主義から決別し外部から登用された魚谷社長のもとでの改革が花開いた。これまでは販売店に商品を押し込むだけの「セルイン」で終わっていた。そこから最終顧客に商品を届けるという「セルアウト」への意思改革。コストを減らすのではなくトップラインを伸ばすためのマーケティング・研究開発への投資を大幅に増やした。こうしたことが結実し、売上高1兆円の目標を3年前倒しで達成、いまは日本、欧米、アジアすべての地域で売り上げが伸びている。8日に発表した2017年12月期の決算で営業利益は804億円と約10年前に記録した最高益634億円を大きく上回った。増配も発表し、株価はこの下落相場のなか逆行高で5連騰して最高値を更新した。

この厳しい相場のなかで、これだけのパフォーマンスを挙げるに足るファンダメンタルズの裏付けをもった銘柄である。資生堂は3月5日に新しい中期計画を発表する。その際に業績予想も発表する。更なる高値追いの契機となりそうだ。

冒頭で「疾風に勁草を知る」のレポートを書いた日付 - 2015年6月 - をわざわざ記したのは、それがコーポレートガバナンス・コードが適用開始となった時だからである。2015年の「疾風に勁草を知る」は「変われない日本企業」が自己変革する機運が出てくる時こそチャンスであるという趣旨を述べたものだ。

レポートは<ソニーやシャープ、そして最近では東芝に吹いている疾風が、利器を分かつことに期待している>と結んだ。この3社のうちソニーだけが完全復活を遂げたが、シャープ、東芝もまだ試合は終わっていない。東芝は元三井住友銀行副頭取で、現在はCVCキャピタル・パートナーズの日本法人会長を務める車谷氏をCEOに迎える。1965年の土光敏夫氏以来となる外部トップだ。資生堂が魚谷社長という外部からのトップ登用で経営改革に成功したように、東芝にも名門復活の期待がかかる。

さて、もうひとつの「利器を分かたんや」は日本株式市場の実力だ。この疾風になぎ倒されることなく、踏み堪えられるか。S&P500のように200日移動平均ワンタッチから切り返せるか、正念場である。

米国株は4日続伸、ダウ平均は1/26日の高値から今回の急落でつけた安値までの下げ幅に対して、1)終値ベースではフィボナッチの38.2%戻し、2)ザラ場(ローソク足)ベースではほぼ半値戻しである。VIX指数は20を下回る水準に低下している。一方、米国10年債利回りは2.9%台に上昇、3%が目前に迫っている。

前回のレポートで述べたように金利上昇は関係ないのである。結局、「慣れ」の問題だ。米国景気が拡大するなか、長期金利が3%であるのはノーマルな状況で、それに慣れればいいだけのことである。イールドスプレッドが3%あれば株価を正当化できる。金利が3%なら益利回りは6%あればよい。つまり、PER16.6倍ならフェアバリューということである。株価がいったんその水準に訂正されたことで調整一巡感が出た。

震源地の米国株が戻って、株価激震のあおりを食らった格好の日本株が、円高を理由に下げ続けるのは理不尽である。日本株もそろそろ底入れから反転のタイミングであろう。

1週間前

決算発表を受けて3社以上が目標株価を引き上げた銘柄は

先月下旬からスタートした3月決算企業の第3四半期の決算発表もほぼ終わりとなりましたが、こうしたなかで1月中に決算を発表した銘柄ではアナリストによる業績や目標株価の見直しもある程度進んだと思われます。そこで今回は先月31日に決算を発表したTOPIX500採用の3月期決算銘柄を対象に決算後に3社以上から目標株価の引き上げがあったもの(足元の株価を上回るもののみ対象)をピックアップしてみました。

そのなかでも特に目標株価の引き上げが目立ったのがコマツ(6301)で、第3四半期の営業利益の実績が7割を超す大幅な増益となったこともあって決算発表後に7社が目標株価を引き上げています。また、通期の営業利益の見通しを大幅に上方修正した任天堂(7974)でも6社が目標株価を引き上げたほか、TDK(6762)でも5社が目標株価を引き上げています。

1週間前

成長加速!なのに過去と比べて低評価に甘んじている銘柄は

日本株は割安との見方変わらず

9日の日経平均は508円安の21,382円と大幅に反落しました。気付けば日経平均は直近の高値である1月23日の終値24,124円から3,000円近く値下がりしたことになります。日経平均の9日時点の予想PERは13.1倍まで低下しました。企業業績は変わらず好調で、日経平均の予想1株当たり利益(EPS)は足元で1,634円と決算発表シーズン入りする前の昨年末から120円以上上方修正されています。現在の株価は業績の割に売られすぎで割安であるとの筆者の見方は変わっていません。以下のグラフに示したように、日経平均の予想PER14割れというのは、過去5年程度を振り返ると結果として買い場となることが多くありました。今回の調整も、やや長めの目線で見れば押し目買いの好機になる可能性が高いのではと考えています。

好業績で成長加速見込みも評価が上がっていない銘柄とは

上述したように現在の日本株は全体として割安な水準にあると考えています。そしてそれにもまして、こういった暴落の局面では本来は業績が好調で成長力のある魅力的な銘柄が全体の下げに巻き込まれて本来の価値よりも割安になりやすいと考えています。そこで今回の銘柄フォーカスでは、「業績が好調で成長が加速する見込みなのに、市場の評価が過去に比べて低い銘柄」をリストアップしました。具体的なスクリーニング条件は以下の通りです。

上記の条件で抽出したところ、以下の15銘柄がリストアップされました。

直近の予想PERと2016年初~2017年末の2年間の平均予想PERは下記の表にしました。

リストに出てきたのは、リニカル(2183)、サントリー食品インターナショナル(2587)、エービーシー・マート(2670)、あい ホールディングス(3076)、クリエイトSDホールディングス(3148)、ユニゾホールディングス(3258)、メディアドゥホールディングス(3678)、セレス(3696)、Ubicomホールディングス(3937)、旭有機材(4216)、野村総合研究所(4307)、パラカ(4809)、ヨータイ(5357)、エボラブルアジア(6191)、日本エアーテック(6291)、シンフォニア テクノロジー(6507)、アルビス(7475)、日本エム・ディ・エム(7600)、東京エレクトロン(8035)、ヤオコー(8279)、九州リースサービス(8596)、京王電鉄(9008)です。

今回もかなり銘柄が多くなったので、上記から10銘柄をピックアップしてビジネスの内容や業績推移についてマネックス銘柄スカウターを活用してご紹介します。ご参考になれば幸いです。

リニカル(2183)サービス業
治験などの医薬品開発受託業務を行う。売上の約2割は海外。

エービーシー・マート(2670)小売業
靴小売の最大手。業績伸び鈍化も足元は回復傾向に。



あい ホールディングス(3076)卸売業
防犯カメラシステムの運営などを手掛ける。

クリエイトSDホールディングス(3148)小売業
神奈川を中心に展開するドラッグストア。着実に増収も足元は2四半期連続で営業減益とやや苦戦。

ユニゾホールディングス(3258)不動産業
東京を中心にオフィスビルを展開。また、ビジネスホテルも積極的に開業している。

野村総合研究所(4307)情報・通信業
野村證券系で、コンサルティングやシステム開発などを手掛ける。

日本エム・ディ・エム(7600)卸売業
骨接合材料や人工関節などの医療関連機器を製造、販売。

ヤオコー(8279)小売業
埼玉県を中心に関東で食品スーパーを展開。

九州リースサービス(8596)その他金融業
リース、ファイナンス、不動産関連ビジネスを九州で展開。

京王電鉄(9008)陸運業
鉄道、バス、不動産、百貨店、ホテルなどを展開。



2週間前

東証2部・新興市場で成長銘柄を探す

荒っぽい展開が続く

 いったんは反発した米国市場で昨日再びダウ平均が1,000ドルを超す下げとなるなど、まだマーケットの混乱が収まっていません。引き続きご不安な状況が続くと思いますが、広木や大槻、金山、私とアナリスト陣が全力でレポートを書かせていただいています。ぜひお読み頂き、冷静に対処するためのお役に立てればと考えています。

 私の日本株に対する見方は前回のレポートで書いたことと変わっていません。好調な日本企業の業績を背景に考えると、足元の急落は売られ過ぎであると思っています。そして、私は企業の成長力こそが何より重要であり、このような局面は成長力の高い優良銘柄が思わぬ下落をして安値を拾えるチャンスになりうると考えています。

 前回のレポートでは私は企業の成長こそが何よりも大切だと考えており、東証1部上場で長期的に成長してきた銘柄をご紹介しました。本日のレポートは東証2部・ジャスダック・マザーズ上場の銘柄について同じコンセプトで銘柄をご紹介します。

具体的なスクリーニング条件は以下の通りです。

 リストには以下の企業があがってきました。日本電通(1931)、UTグループ(2146)、ベネフィット・ワン(2412)、夢の街創造委員会(2484)、ACKグループ(2498)、テンポスホールディングス(2751)、セリア(2782)、アスラポート・ダイニング(3069)、白鳩(3192)、東武住販(3297)、AMBITION(3300)、システム情報(3677)、じげん(3679)、日本エス・エイチ・エル(4327)、モーニングスター(4765)、山田コンサルティンググループ(4792)、JFEシステムズ(4832)、フマキラー(4998)、ニチリン(5184)、ノザワ(5237)、シンポ(5903)、タケダ機械(6150)、マルマエ(6264)、ジャパンインベストメントアドバ(7172)、ダイイチ(7643)、朝日インテック(7747)、シノケングループ(8909)、エリアクエスト(8912)、日本アセットマーケティング(8922)、青山財産ネットワークス(8929)、沖縄セルラー電話(9436)、セレスポ(9625)、帝国ホテル(9708)、旭情報サービス(9799)です。

 かなり銘柄が多くなったので、上記の銘柄の中から10銘柄をピックアップしてビジネスの内容やマネックス銘柄スカウターの業績推移をご紹介します。ご参考になれば幸いです。

2週間前

「金融危機」ではない :財務が堅固な銀行はリバウンドもしやすい

● 週末のNY市場以降、世界の株価下落が続いている。「金融危機」を彷彿とさせるが、これまでの金融危機で見られたような銀行等のクレジット市場の反応は殆どみられない。

● 銀行株も市場平均並みに下落している。しかし、金利の上昇は銀行の業務上はポジティブであり、前回の危機時と異なり、銀行は財務的に堅固。本来的には株価下落への耐性が高い。

● このため、動揺が収まれば、銀行株にはリバウンド力が強いと考えられる。但し、当面の株式市場リスクのヘッジを考えるなら、高利回りのバンクキャピタル・ファンド(銀行のハイブリッド債を組み合わせた投信等)などに一部の資金を移動させることも検討したい。

金融危機と異なる銀行CDSの動き

株価暴落が2日目に入った。しかし、昨日「グローバル・マクロウォッチ」で触れた通り、株価の下落を横目に、高リスク債の信用力(クレジット)市場や新興国国債市場は引き続き冷静である(図表1-1、1-2)。

また、銀行のクレジットを表す劣後CDSも株価暴落後も概ね安定している。金融不安・金融危機下では、銀行の信用力の悪化がつきものである。これに対して今回は、銀行のクレジットにはまだ殆ど反応がない(図表2-1、2-2)。

これは、やはり今回の株暴落が金融危機とは異なることを表すとともに、過去とは違い、市場が銀行の財務力を信頼していることを示す。

当面の銀行株の見通し

銀行株もこれまでのところほぼ市場平均並みに下落している。しかし、本来インフレ率上昇や金利の上昇は銀行の業務上はポジティブである。前回の金融危機時と異なり、殆どの銀行は資本比率も向上しており、不良債権比率も大幅に低下しているなど、財務力は史上最高となっている(図表3)。

このため、市場の動揺が収まれば、銀行株にはリバウンド力が強いと考えられる。特に、インフレ、経済成長、減税恩恵等の期待があり、金利も上昇基調の米銀については、株価の回復力が強いだろう。
但し、当面のリスクをヘッジしたいと考える場合、高利回りのバンクキャピタル・ファンド(銀行の資本性証券を組み合わせた投信)に一部の資金をシフトすることは一考に値するだろう。バンクキャピタルは、一部で利益確定の売りはみられるものの価格は比較的安定しており、分配金等も高いものが多いためである。

2週間前

緊急レポート PART2 米国株急落の理由は金利上昇ではない

米国株市場でNYダウ平均は先週末の大幅安に続いて史上最大の下げ幅を記録した。巷にあふれる解説は、米国長期金利の上昇が米国株の下落理由だと言うがそうではない。では何が理由か?理由はない。結論を先に言えば、理由もなく市場心理がもたらしたパニック売りによる暴落なので、早晩、下げ止まるだろう。

過去に100回くらい言ってきたが、株価の短期的な変動には明確な理由がないことのほうが多い。著名な学者たちによって研究・証明済みである。詳しくは、2015/9/1付「2015年版光と波 ‐ 世界株安の原因が中国不安でない理由」をご参照ください。

今日の日経新聞「スクランブル」は今回の急落と似たような例としてブラックマンデーを挙げていたが、まさに「明確な下げの理由が特定できない暴落」という意味では当を得ている。今回の米国株の急落も同じで、単に、売りたいひとが大勢いたということだ。この点は相場というものの本質で重要なところなので、あえてくどいくらいに説明する。

どうして相場が上がったんですか?買いが多かったからです。どうして相場が下がったんですか?売りが多かったからです。

この解説は間違っている。売りと買いは常に同数である。そうでなければ商いが成立しない。値がつかない。売りか、買いか、どちらかが多いということはない。では、はじめに述べた「売りたいひとが大勢いた」から下がったというのは間違いか。そうではない。株価が動くのは、その値が欲しいひとがいるからだ。いくら売りや買いが膨らんでも、<下値を売る><上値を買う>ひとがいなければ株価は動かない。売りたいひとが大勢いる場合、「確実に」売るにはどうするか。下値を売りにいくしかない。とにかく株を手放したいときは値段もファンダメンタルズも関係なく「投げる」。この点はあとでもう一度説明するが、まず金利上昇が米株下落の要因ではないことを見ておこう。

出所:ブルームバーグ

グラフはダウ平均が665ドル安した2月2日とその前日(2月1日)のダウ平均(紺)と10年債利回り(オレンジ)の日中足を示したものだ。日付が変わるところを挟んで紺とオレンジのコントラストが興味深い。

2月1日に10年債利回りは前日比で8bpsも上昇した。しかも株の取引時間中に、である。にもかかわらずダウ平均は横ばい推移で37ドル高で引けている。株式市場は金利上昇を無視したのである。

翌2日は朝方発表された雇用統計で時間当たり賃金が市場の予想を上回る伸びとなったことを受けて10年債利回りは2.84%に上昇した。ダウ平均もそれを嫌気して125ドルほど下げて始まった。しかし、その後は金利は上昇していない。ほぼ横ばい推移でむしろその日の朝より低下する場面もあった。それにもかかわらず、ダウ平均は右肩下がりに下げ足を速めていった。金利の動きとは無関係である。雇用統計も、それを受けた金利上昇も、「取引開始前」の材料であり、「取引時間中」に悪材料は出ていない。これがまさに「市場が効率的でない」証左であろう。市場が効率的なら、雇用統計と金利上昇という「取引開始前」の材料を寄り付きの125ドル安で反映して、それで終わりになるはずだ。

さらに言えば、10年債利回りは2月1日に2.79%まで上昇している。1日の上昇ペースで言えばこの日の上昇幅は8bpsで今年最大 。翌2日は5bps上昇し2.84%になった。長期金利が2.7%台なら耐えられて、2.8%台になると、どうして600ドルも急に株価は下がるのだろう。2.8%の金利が閾値である理論的な根拠はなにもない。

2日の下げの理由は何か。株価の動きそのものである。「株価が下がったこと」が売り材料になる。

どうして相場が下がったんですか?相場が下がったからです。

冗談のようだが、これが真実である。このメカニズムは、著名ヘッジファンド投資家のジョージ・ソロス氏が「リフレキシビティ」という理論でうまく説明している。詳しい説明は、2015/8/25付「下げ止まりの兆し ジョージ・ソロスの市場理論」をご参照いただきたいが、簡単に言うと、

ファンダメンタルズ⇒投資家の判断・意思決定⇒取引実行⇒市場価格の変化

という順に市場価格は形成される(はず)であるが、時には、ファンダメンタルズから離れて、

市場価格の変化⇒投資家の判断・意思決定⇒取引実行⇒市場価格の変化

という具合に株価の動きが投資家の判断(というより心理)に影響を与えて、この部分だけでループが回り続けることがある。これが「上がるから買う、買うから上がる」となればバブルが発生し、「売りが売りを呼ぶ展開」になれば今回のような暴落を引き起こす。

僕は、昨年の12月25日のレポート「2018年の投資環境」ですでにこうした事態が起こり得ることは指摘している。レポートのサブ・タイトルは、<世界経済の拡大続く 死角はないが「もしもは起こる」と考える 市場の変動性自体がリスク>としている。まさに「市場の変動性自体がリスク」なのである。前出のレポートから引用する。

<市場の動き自体がリスクになる可能性もある。経済的なリスクがないことを反映して恐怖指数の別名をもつVIX(ボラティリティ・インデックス)は歴史的な低水準にある。投資家が波乱が起きないと考えていることの表れである。(中略)「ボラティリティ=リスク」と捉えてリスク管理をおこなっている投資家も多く、ボラティリティが上昇するとリスクが高まったと判断しエクスポージャーを減らす制約が強まる。このためボラティリティが急上昇する局面ではリスク資産の売りがドミノ倒しのように巻き起こる可能性も否定できない。2015年夏のチャイナ・ショックはこのパターンだったと認識している。上海株の急落と人民元相場の切り下げがグローバル市場に激震を与えたが、中国の実態経済がおかしくなったわけではない。ファンダメンタルズに大きな変化がなくても、市場は動くものであり、その市場の動きがグローバルに共振し増幅されていくメカニズムがある。ジョージ・ソロスが唱えた「再帰性理論」もそうしたことを指摘している。(この観点からビットコインの急落は、VIX急上昇のトリガーにはなり得るので注意が必要だ。)

経済的にリスク要因が見当たらないが、特に明示的な理由はなくても暴落は起きる。30年前のブラックマンデーもそうだった。メイン・シナリオは日経平均3万円到達だが、常に市場の急変には備えておこう。某生命保険のCMではないが「もしもは起こる」(と考える)のである。>

米国の長期金利の動きに戻ろう。グラフは、2月2日と昨日5日の日中足である。

出所:ブルームバーグ


株価と金利が同じ動きをしている。むしろ株価急落で安全資産の国債が買われ金利は急低下。金利上昇で株価が下げたのであれば、株価急落前の水準に金利が低下したことを受けて下げ止まってよいはずだが、そうならない。こういう動きになったらもはや金利は関係ないということだ。

昨日のレポートで紹介したイールド・スプレッドは、株価急落で株式益利回りが上昇、金利が低下したことを受けて、再度3%台に浮上した。昨年9月上旬以来の水準だ。昨年9月上旬といえばダウ平均はまだ2万2000ドルだった時。金利見合いのバリュエーションという意味では、すでにそのレベルまで調整していることになる。ファンダメンタルズからはここで下げ止まっても、まったくおかしくないが、繰り返してきた通り、ここまでくると理屈ではない世界なのでしかたない。

目先のサポート材料は、FRB高官から市場を擁護する発言が聞かれることである。米国は政治家も当局者も株式市場の重要性をしっかりと認知している。株価が崩れると米国景気そのものが崩れるからだ(この点はソロスの再帰性理論でも説明されている)。市場は、パウエル新体制FRBの対応力を試しているように見える。Bloomberg News は、2001年と2008年の1月に召集された緊急FOMCを想起すべき時が近づいてきたようだ、というコラムを報じている。緊急利下げはなくとも、一時はほぼ確実と思われていた3月利上げの可能性は遠のいただろう。緩和的スタンス継続との見通しが広がれば、株価の調整も終わるはずだ。

ここまでくると理屈ではない世界と述べたが、やはり最後は理屈に収まる。早晩、下げ止まるだろう。

下げ止まるが、戻りには時間がかかるかもしれない。それがワースト・シナリオだ。一旦、相場が大きくクラッシュすると、すぐに動揺は収まらないことが多い。2015年のチャイナ・ショックがそうだった。これは前述したボラティリティによるリスク制約が関連しているのであろう。もうひとつの理由は、「値幅の調整は速い。それゆえ玉(ポジション)の調整には時間がかかる」ということだ。これだけ下落のスピードが速いと逃げ遅れたひとたちが大勢いるだろう。そういうひとたちの戻り売りをこなすのに時間がかかるということだ。

それでも、シンプルな話、株価は安くなったのは事実である。日経平均が2万3000円の時に買おうと思ったのなら、ここで買わない手はない。

相場が荒れているだけに、予算の半分か1/3、まず打診買いを入れてみる。これは自分自身に向かって言っている言葉である。

3週間前

緊急レポート  NYダウ平均大暴落 米国株は割高か

今週のマーケット展望では、こう述べた。

<冷静に考えれば米国の金利上昇は日本株にとって好材料。為替の面でも円高が進みにくくなるし、米国株から日本株へのシフトも誘因するかもしれない。2万3000円割れがあれば押し目買いの好機と判断する>

ただ、もちろんその大前提として米国株が落ち着きを取り戻すということが条件である。かねてから米国株は割高感が指摘されてきた。PERなどは過去の水準に比べれば確かに高いが、それを正当化してきたのは金利が低かったから。金利がここまで上がってくると割高なバリュエーションを許容できないという懸念が出てきたのが、今回の大幅調整につながった背景である。つまり、PERだけ見て割高割安を測るのではなく、金利対比のバリュエーションを見る必要がある。

代表的なのはイールド・スプレッド。PERの逆数である株式益利回りと米国10年債利回りの差を見ると、安全資産である国債よりリスクの高い株式の益利回りが高いのが自然だが、「根拠なき熱狂」と言われた90年代は同じような水準だった。イールド・スプレッドはほぼゼロ近傍で推移している。ITバブルのピークでは株の益利回りが国債利回りを下回る(イールド・スプレッドがマイナスになる)ところまで株が買われた。こういうのをバブルというのであって今はまだそういうレベルではない。

グローバル金融危機後の高水準のスプレッドからは確かに低下しているが、これはよく議論される通り株が割安というより債券のほうが割高、つまり金利が異常に低かったせいだ。その修正が - 金融政策の正常化の過程で起きてきただけである。

ではスプレッドはいくらなら適正がというと、これは分からない。この期間の平均では1.5%だが、もっと長期の平均では3%程度。ITバブルの時は、マイナスにまでなったが、リーマンショック前は2%程度であった。

少なくとも現在は過去1年の水準から大きく逸脱していない。3%前後のプレミアムがついている。まだ適正と思われる範囲内にイールド・スプレッドはある。イールド・スプレッドは昨年12月のほうが低く、金利対比のバリュエーションではその時のほうが割高だったのだ。

減税が決まって、足元で大幅に業績が上方修正されて益利回りは上昇している。金利上昇は確かに急ピッチだが、益利回りのほうも上昇していることが見逃されている。

株式相場は雇用統計、特に時給の上昇がポジティブサプライズで文字通り、びっくりしただけだ。冷静になれば平均時給の前年同月比2.9%上昇というのは驚くに当たらない(2016年、2017年にも2.8%上昇という月があった)。とりあえず雇用統計というビッグイベント通過で、金利上昇にも歯止めがかかる頃か。株式市場も早晩、落ち着きを取り戻すだろう。

驚くに当たらないと言えば、600ドルを超える下げ幅も、普通にあり得ることだ。下げ幅こそ、2008年12月1日に約680ドル下げて以来9年ぶりの大きさだが、当時のダウ平均は8,000ドル台。当時の680ドル安は率にして7.7%安で現在に換算したら2000ドルの下げに匹敵する。先週金曜日の下落は率にすれば2.5%である。日経平均が大発会に700円超も上昇したことを思えば、1日で600ドルを超える下げがあっても驚くには当たらないだろう。

今日の東京株式市場は、市場がスマートかどうかの試金石になる。パニック売りをどこまで冷静にさばけるか、投資家の肝が試される。

3週間前

決算集計速報 PART2 業績予想を上方修正した銘柄は

先週からスタートした3月決算企業の第3四半期決算発表が昨日から本格化しています。昨日は決算発表を行う企業が一気に増えTOPIX500採用企業に限っても1日で50社近い企業が決算を発表しました。そこで今回は昨日の決算発表をTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に早速、集計してみました。

そのなかで通期の営業利益の見通しを上方修正したのが日本M&Aセンター(2127)やNEC(6701)、アドバンテスト(6857)、ヤマトホールディングス(9064)などで、上方修正を素直に好感して決算発表後に株価が大きく上げています。一方で営業利益の見通しを下方修正したのが日立化成(4217)と中国電力(9504)で、日立化成は下方修正を嫌気して株価が5%超下げています。

3週間前

17年3Q決算の見通し:邦銀株投資の好機

- 今週は邦銀の3Q決算発表が集中。サプライズは見込めないものの、既に、2Qまでの会社計画達成率が高く、通期計画に対する達成率が8割を超える銀行が多いだろう。
- 今年の銀行業界は、ポジティブな要素が多いことから、そろそろ邦銀株投資の好機。当面は、業績を確認しつつ高配当銘柄に注目し、年後半は、景気拡大と金利上昇期待本格化から、高ベータの大手行、地元景気が堅調な大手地銀株に注目。
- リスクは、5月の通期決算で提示される19/3期の会社計画が保守的なものになる可能性。有価証券関係損益の剥落や、与信費用の反転などを織り込むため。これらを回避しつつ、高配当狙いから高ベータシフトの2段階の戦略で臨みたい。

足元の株価と業績動向

今週は大手行の3Q決算が発表される。株価は、年初は金利上昇期待で好調なスタートを切ったが、その後低迷している(図表1)。

そのような中で今週は大手行、地銀の3Q決算が発表になる。例年銀行の3Q決算にはさほど大きなサプライズはないが、総じて良好な内容となると予想される。

足元では、地銀を中心に貸出の伸びが堅調である(図表2)。都市銀行は、国内貸出の伸びが鈍化しているが、その分、海外貸出の伸びでカバーしていると思われる。

新規貸出金利も、住宅ローンなどの長期については下げ止まりつつある(図表3)。さらに、基準金利がじわじわと上昇し始めたことから、短期も含めて利鞘の下げ幅は鈍化していくだろう(図表4)。また、手数料収益も、株式・不動産、M&A市場等の活況で、持ち直しているものとみられる。

このため、2Q時点で通期会社予想に対する達成率が高かった銀行については(図表5)、通期予想に対する当期利益の達成率は8割をゆうに超える可能性が高い。

当面の投資戦略

今年の銀行業界は、昨年12月末の国際資本規制最終案の決定や、日米の中央銀行の幹部の交代、コスト構造改革の本格始動など、ポジティブなニュースが多く、注目度が高まるだろう。

このため、銀行株については、以下の2段階での投資戦略を推奨したい。

まず、期末に向けては高配当銘柄を検討したい。銀行株の配当利回りは引き続き魅力的である(図表6)。上記の通り、3Q決算は総じて良好な内容になりそうなので、決算に関する懸念は少ない。さらに、今期の好決算と規制の決着で、株主還元方針を見直す銀行もありそうだ。

但し、来年度は、今年度好調な有価証券関係損益の剥落や、与信費用の反転などを織り込むため、銀行によっては、弱めの期初予想を提示すると思われる。これらの銀行は現時点から回避し、来期計画に安定感がある銘柄を選択するのが望ましいだろう。

具体的には、あおぞら銀行(8304)、セブン銀行(8410)、三井住友トラスト・ホールディングス(8309)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)などに注目したい(図表6、図表7)。

次に、年後半は、高ベータ銘柄へのシフトを検討したい。年後半には、海外金利の上昇に釣られることで、日本でも長期金利の上昇期待が高まるとみられる。また、景気の拡大で、大手行や大手地銀では、M&Aなどの手数料収益の拡大が期待できるだろう。特に、地元の景気が好調な地域については、収益の反転が視野に入るだろう。

具体的には、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、千葉銀行(8331)、ふくおかフィナンシャルグループ(8354)、コンコルディア・フィナンシャルグループ(7186)などに注目したい。

3週間前

決算集計速報 決算発表に大きく反応した銘柄は

先週からスタートした3月決算企業の第3四半期決算発表は本日から本格化します。そのため昨日までに決算を発表した企業はTOPIX500採用企業に限ると16社とまだまだ少ないものの、決算発表に株価が大きく反応する例も少なからずみられました。そこで今回は24日から昨日までの決算発表をTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に早速、集計してみました。

そのなかで決算発表を受けて株価が大きく上昇したのがエムスリー(2413)や信越化学工業(4063)、JSR(4185)、日立建機(6305)などで、信越化学工業と日立建機は通期の営業利益の見通しを上方修正したことで、エムスリーとJSRは第3四半期の営業利益の実績が大幅な増益となったことを好感して買いを集めました。一方で小糸製作所(7276)が通期の業績予想を上方修正したにも関わらず市場予想に届かなかったことで大きく下げたほか、通期の業績予想を下方修正した富士通ゼネラル(6755)も株価が急落しています。

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もう一つのヒント

明日の決算発表スケジュールは

3月決算企業の第3四半期決算発はTOPIX500採用銘柄に限ると明日がピークとなります。こうしたなか明日は前場や昼休み中に海運大手3社などが決算を発表するほか、取引終了後にコマツ(6301)や日立(6501)、TDK(6762)、KDDI(9433)、任天堂(7974)などが決算を発表する予定です。

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