Category : マネックス

18時間前

目標株価の引き上げが目立つ12月決算銘柄は

先月下旬からスタートした3月決算企業の本決算発表もほぼ終わりとなりましたが、それと並行して行われていたのが12月決算企業の第1四半期決算発表で、これも先週で終了しました。そのため決算発表後のアナリストによる業績や目標株価の見直し作業も順次進んでいると思われます。そこでまずは8日までに決算を発表したTOPIX500採用の12月決算銘柄を対象に決算発表後に目標株価の引き上げがみられたもの(足元の株価を上回るもののみ対象)をピックアップしてみました。

そのなかでも目標株価の引き上げが目立ったのがポーラ・オルビスホールディングス(4927)とアサヒホールディングス(2502)で、堅調な業績を受けて決算発表後に4社が目標株価を引き上げています。また、花王(4452)や協和発酵キリン(4151)、旭硝子(5201)でも3社が目標株価を引き上げたほか、ライオン(4912)とDMG森精機(6141)でも決算発表後に2社が目標株価を引き上げています。

4日前

中間期の折り返しに向けて順調なスタートを切った銘柄は

先月下旬からスタートした3月決算企業の本決算発表もほぼ終わりとなりましたが、それと並行して行われていたのが12月決算企業の第1四半期決算発表です。それも今週で終了したことから昨日の投資のヒントではTOPIX500採用の12月決算銘柄を対象にその決算を集計しましたが、今回はそのなかから中間期の折り返しに向けて順調なスタートを切った銘柄を取り上げてみました。

具体的には中間期の会社予想を公表している銘柄で、その上期予想に対する第1四半期の営業利益の進捗率が50%以上となったものをピックアップしています。例えば昭和シェル石油(5002)やネクソン(3659)では上期予想に対する進捗率が8割以上となったほか、コクヨ(7984)やライオン(4912)でも進捗率が7割を超える水準となっています。また、業績予想を上方修正した昭和電工(4004)でも進捗率は5割となっています。

4日前

今期減益の要因と日経平均のバリュエーション

決算発表も一巡して、連続最高益となった前期から今期は3期ぶりに減益となる見込み。日経平均を構成する225社の当期利益予想の合計は27兆7千億円で前期実績から1兆8千億円減少する。これを1株当たり利益(EPS)にすると今期予想(加重平均ベース)は1640円程度になる。前期実績は1760円程度だから、6%強の減益予想だ。

僕たちが「日経平均3万円への道」を打ち出した昨年の秋、僕は今期予想EPSを1770円と見積もった。そのEPSをPER17倍(過去平均+1標準偏差)まで評価すれば、

1770 × 17 = 30,090

で日経平均は3万円に届く、という見立てであった。前期実績1760円だからEPS1770円という予想は、前期のうちにほぼ届いてしまっていたのである。ただ、それがわかったのは減益予想となっている今期になってから、というのがなんとも皮肉なところだ。皮肉と言えば、今期のスタートは見立ての正反対というのも皮肉である。昨秋秋の見立ては今期業績1ケタ増益だったが、反対に1ケタ減益。PERの過去平均+1標準偏差ではなく、過去平均マイナス1標準偏差、というのが現状だ。

しかし、この「今期減益」というのを額面通り受け取るのは間違いである。

減少額の上位をみるとトップはソフトバンク、以下自動車。これらの企業は米国の減税で前期に大きく利益が出た銘柄。その反動減という特殊要因がある5位の第一生命も前の期に57%増の3639億円と上場来最高益を出した反動。これも米国減税等前期に計上した一時的な利益がなくなる影響で減益を見込むが、実質的には増益になるとして増配に自社株買いを発表し株価は堅調だ。

225社中、減益は80社で全体の3分の1である。減益の合計額は3兆5千億円だが上位30社で3兆2千億円、上位10社で2兆5千億円と上位の減益に引っ張られている。

最終の当期利益は特別利益の剥落で減益だが、営業利益ベースでは増益だ。真水の稼ぐ力は高まっている。例えばトヨタは営業利益4%減の予想だが、為替相場の影響を除いた「真水」の値でみると実は5%の増益だったりする。販売台数の増加や「お家芸」の原価低減を見込んだ強めの数字になっている。当期純利益の減益幅が最大のソフトバンクも営業利益は増益予想だ(日経予想ベース)。

最終利益の減益を額面通り受け止めてはいけないというのは、こういう意味だ。そうは言っても、数字は数字。EPSは1640円程度に下がる。PERの拡大がなければ2万3000円程度がフェアバリュー。過去平均の15倍まで戻れば1月の高値を抜けて2万4000円台後半まで上昇するのはファンダメンタルズでじゅうぶん可能だが、問題はPERを引き上げるカタリストが乏しいことだ。

4日前

12月決算銘柄の第1四半期決算集計 決算で大きく上昇した銘柄は

先月下旬からスタートした3月決算企業の本決算発表もほぼ終わりとなりましたが、それと並行して行われていたのが12月決算企業の第1四半期決算発表です。それも今週で終了したことから今回はTOPIX500採用の12月決算銘柄を対象にその決算を集計してみました。それをみると第1四半期ということもあって通期の業績予想を据え置く企業がほとんどでしたが、一部には修正する企業もみられました。

例えば通期の業績予想を大幅に上方修正したのが昭和電工(4004)で、営業利益の見通しを従来の1100億円から1370億円へと引き上げたことから決算発表翌日に株価が大きく上昇しています。また、業績予想は据え置きとなったものの、資生堂(4911)はこの第1四半期の営業利益が前年同期比で9割を超す大幅な増益となったことから決算発表翌日に株価が急伸しています。

5日前

決算集計速報 最終版 終盤の決算発表は

先月下旬からスタートした3月決算企業の本決算発表も先週末がピークで決算発表もいよいよ終盤です。しかし、それでも昨日は400社近い企業が決算を発表しTOPIX500採用銘柄に限っても30社の企業が決算を発表しています。そこで今回は昨日の決算発表をTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に早速、集計してみました。

そのなかでコンセンサス予想を上回る営業利益の見通しを発表したのがNTN(6472)や阪急阪神ホールディングス(9042)で、株価は強気の業績予想を受けて堅調でした。一方でコンセンサス予想を下回ったのが鹿島(1812)やエイチ・ツー・オー リテイリング(8242)で、営業減益予想の見通しを発表したこともあって株価は軟調となりました。

7日前

決算集計速報 PART9 昨日の決算発表は

先月下旬からスタートした3月決算企業の本決算発表も先週末がピークで決算発表もいよいよ終盤に入ってきました。しかし、それでも昨日は380社近い企業が決算を発表しTOPIX500採用銘柄に限っても30社近い企業が決算を発表しています。そこで今回は昨日の決算発表をTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に早速、集計してみました。

そのなかでコンセンサス予想を大きく上回る営業利益の見通しを発表したのがコニカミノルタ(4902)で、前期に減益予想が一転して増益での着地となったうえ、今期も二桁の増益予想となっています。一方でコンセンサス予想を大きく下回ったのが日産(7201)で、前期の大幅減益に続いて今期も減益予想となっています。

1週間前

決算集計速報 PART8 ピークを迎えた決算発表で強気の見通しを発表した銘柄は

先月下旬からスタートした3月決算企業の本決算発表も先週末がピークとなり、先週末は一日で800社を超える企業が一斉に決算を発表しました。こうしたなかTOPIX500採用銘柄に限っても前日に続いて70社以上の企業が決算を発表しています。そこで今回は先週末の決算発表をTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に早速、集計してみました。

そのなかでコンセンサス予想を上回る営業利益の見通しを発表したのが千代田化工建設(6366)や阪和興業(8078)、長谷工コーポレーション(1808)、日本空港ビルデング(9706)などで、これらの銘柄では強気の業績予想を受けて決算発表後に株価が大きく上げています。一方で営業利益の見通しが市場予想を下回った旭化成(3407)やSUBARU(7270)では決算発表を受けて株価が下げています。

1週間前

銀行18/3期決算発表開始:そろそろメガバンクに強気に

● 来週メガバンクの18/3期決算が発表される。終了した18/3期はほぼ会社計画通りの前期比微減益と予想され、19/3期も殆ど全行で微減益の可能性大だが、いくつか注目すべき点も。

● 特に、1)貸出金利低下度合い、2)貸出増加幅、3)コスト構造改革の見通し、4)株主還元策に注目。メガバンクでは貸出金利は下げ止まりも近く、利鞘の厚い海外大型貸出の増加も続きそう。

● 既に微減益は織り込まれているだけに、上記の点などで意欲的な内容が示されれば株価が見直される可能性がある。旺盛な外貨建て貸出の需要の恩恵を受け、コスト構造改革も具体化する大手行に相対的に強気。金利上昇は遠のいた感もあるが、自力の業績改善から上値余地あり。

銀行18/3期決算決算の注目点
銀行の18/3期の決算発表が開始、来週はメガバンクを含む大半の銀行の決算が発表される(SMFG 5/14、MUFGとみずほ5/15)。3月後半以降銀行株はTOPIXに対して弱いが(図表1)、これは、金利上昇期待の剥落と、ぱっとしない18/3期の決算を織り込んでいると思われる(図表2)。

一方、19/3期の会社計画には注目点も多い。現時点の市場のコンセンサス予想では、19/3期も一部を除くほぼ全行で微減益の予想となっている(図表3)。しかし、いくつか決算で注目すべき点もあり、その内容によっては、メガバンクを中心に切り返す可能性があるだろう。

1)貸出金利の低下度合い
国内の貸出金利は、都市銀行平均で0.827%、地方銀行平均で0.999%と、ついに地方銀行でも1%を切った(図表4-1、直近18/2月)。19/3期についても、低下幅は徐々に縮小しているものの、まだ下がり続けるのは確実である。低下幅は、特に第二地銀で大きい一方、メガバンク傘下の各都市銀行ではかなり下げ止まり感が出てきている(図表4-2)。

大手行ではこうした国内貸出関連業務が収益に占める割合は2~3割程度と低いものの、基幹業務の一つではあり、反転増に転じることは一つのポジティブ材料となるだろう。

2)貸出増加率
次の注目点は、利鞘の低下を貸出のボリュームでどこまで打ち返すことができるかである。19/3期は引き続き利鞘の低下率が貸出の増加率を上回ってしまい、預貸金利益は減少を続けるだろう(図表5-1,5-2)。地方銀行については、貸出の伸び率が4%前後と高いことから、来年度にはリーマンショック後初めて預貸金利益が反転増に転じるかもしれない。しかしこれを織り込むのはまだ早いだろう。

一方、メガバンクの海外貸出は引き続き拡大が見込める。一時懸念されたLiborの上昇も4月以降落ち着きつつあり、金利の更なる上昇前の駆け込みの資金需要で3~5%前後の増加が期待できる。特に期待はM&Aや設備投資資金である。例えば、武田薬品工業(4502)によるアイルランドのシャイアー社買収では、買収額約7兆円に対し3兆円の融資が想定されている。こうした海外大型案件の過去5年間の平均利鞘は242bpと、国内貸出の3倍にも上るため、やはり今期は地銀よりはメガバンクの方に業容拡大の軍配が挙がりそうだ。

3)コスト構造改革の見通し
前期から始まったメガバンクの「コスト構造改革」については、まだ緒に就いたばかりであり、今期に目に見えるような成果を期待するのは難しいだろう。むしろ、例えば、報じられているような三菱UFJの店舗削減などの施策や、金融技術の活用がどの程度のコストカットに繋がるのか等、将来に向けた取り組みの一段の具体化が注目点である。また、地銀にはメガバンクのようなコスト構造改革の波は押し寄せていないが、前向きに取り組む銀行が出れば素直にポジティブに評価されるだろう。

4)株主還元策(配当および自社株買い)
一部の銀行の配当利回りは3%を超えるなど引き続き高い(図表7)。配当性向は、30~50%に分散しているが、微減益が予想されている今期計画も、各行とも配当額を下げる可能性はゼロに近いだろう。むしろ資本比率に余裕度が高いMUFGやSMFGには若干の還元強化が期待される。

注目銘柄:そろそろメガバンクに強気
19/3期の計画に注目が集まる中、企業のM&A関連業務や、旺盛な外貨建て貸出の需要の恩恵を受けるMUFG(8306)やSMFG(8316)などのメガバンクグループに相対的に強気である。金利上昇は遠のいた感もあるが、自力の業績改善から上値余地があるだろう。

2週間前

決算集計速報 PART7 決算に大きく反応した銘柄は

3月決算企業の本決算発表が先月下旬からスタートしていますが、大型連休で一旦減った決算発表も今週に入って再び増加し佳境を迎えています。こうしたなか昨日も多くの企業が決算を発表しTOPIX500採用銘柄に限っても70社以上の企業が決算を発表しています。そこで今回は昨日の決算発表をTOPIX500採用の3月決算銘柄を対象に早速、集計してみました。

そのなかで決算に大きく反応したのがカカクコム(2371)や東レ(3402)で、カカクコムは1割余りの増益でコンセンサス予想並みとなる営業利益の見通しを発表したことから決算発表後に株価が急伸し11%余り上昇しています。一方で増益予想ながらコンセンサス予想を下回る営業利益の見通しを発表した東レは決算発表を受けて株価が5%を超える下落となっています。

2週間前

なぜ株価の上値が重いのか?

日経平均は1月高値からの下げ幅に対する半値戻しを達成し、「半値戻しは全値戻し」との格言通り、再び高値に戻る過程にあるという認識だ。25日移動平均が75日移動平均を上回るゴールデン・クロスも示現、一目均衡表の雲の上にも出ており、チャート上の上値抵抗もない。次のターゲットはフィボナッチの61.8%戻し、2万2684円の水準か。そこまで戻せば、NYダウ1000ドル超の急落を受けた2/5-2/6に空けた大きな窓を埋める。そこまでくれば全値戻しに弾みがつくだろう。本稿執筆現在(9:15)、日経平均は2万2660円程度、あともう少しである。

それにしても、これまでの上値の重さはなぜなのだろう。昨日の「Market Talk」でも参加者から質問が相次いだ。まっさきに挙げられるのが、業績の一服感だろう。日経新聞に掲載されている株価収益率の逆数は、日経平均をひとつの会社と見做して(構成する225銘柄を連結対象の持ち株会社と見做して)その1株当たり利益(EPS)を加重平均で求めたものに等しい。4-12月の決算発表で切れ上がった後も高水準で推移してきたEPSはトヨタ決算を反映した5/9の1721円でピークアウトした格好だ。5/10には一夜にして60円超も低下している。

どうでもいいテクニカル的なことを述べれば、一夜にしてEPSが低下したのは、10日付ではなく9日である。日経(およびQUICK)では、企業の本決算発表のタイミングで、企業収益の「前期実績」「今期予想」を切り替える。その更新は日々行われているのだが、集計のタイミングが遅れる場合がある。実際に手元で225銘柄の今期予想利益を積み上げて時価総額合計を割って算出するPERは、9日付より10日付のほうが下がっている。つまりEPSは前日比わずかながら上昇しているのだ。パナソニックの純利益2500億円予想やKDDIなど大きく増加したものが反映されている。実際にEPSが低下したのは9日である。ソフトバンクが9000億円、トヨタが2800億円、今期の予想が減額になった。だから本来は9日付で(昨日時点の発表で)13.4倍というPERを日経は掲載するべきだったのだ。まあ、そんなテクニカルな要因はどうでもいいが、予想EPSがピークアウトしたことは確かである。

EPS低下を受けてPERは13倍から13倍台半ばに上昇したが、それでもまだアベノミクス相場開始以来の平均値(15.4倍)に対して1標準偏差下回る水準になっただけである。決算発表がほぼ佳境を越えた段階で、ピークアウト感はあるものの依然高い水準の企業業績を、過去平均を下回る評価しかできないのは、なぜか?バリュエーションが高まらない、ほぼ同じ意味だがリスクプレミアムが低下しない。ひとえに、投資家の心理が改善しないから、としか言いようがない。ではなぜ投資家心理が改善しないかと言えば、それは「人間の気持ち」「ひとの心」の問題だから、解明のしようがない。昨年ノーベル経済学賞をとった行動心理学でも、まだそこまではいっていない。

投資家心理が弱いのは、メディアの報道姿勢にも一因があるかもしれない。本日の日経新聞1面は、「企業業績予想足踏み 円安一服、逆風に」という見出しで、上場企業(金融除く)の純利益は28兆円弱と高い水準を保つものの、3期ぶりの減益となる見通しだと報じている。

ただし、これも、モノの見方の問題である。コップに水が半分入っている。半分しかない、と思うか、まだ半分も残っていると思うか。コップに水、ではなく、ボトルにワインなら僕はまだ半分残っていると思いたい。

日経の記事にはこうある。<米減税の影響で前期の純利益には会計上の増益要因が2兆円近く生じ、その反動も出る。今期の純利益の減少額(1兆円強)を上回る影響額だ。円相場を厳しめにみている点なども考慮すると、企業業績は上振れていく可能性もある。実際、本業のもうけを示す営業利益は3%程度の増加とプラスを保ちそうだ>

米国の減税で前期に2兆円上振れて、今期1兆円しか減らないなら、実質的には増益ではないか。それも為替レートの想定は105円が過半を占める。営業利益は増益予想だ。日経記事は「企業業績は上振れていく可能性もある」と書いているが、僕は、「企業業績は上振れていく可能性が高い」と言い直す。

もう一度、「企業業績予想足踏み」という見出しを見よう。足踏みするのは「業績予想」であって、「実際の企業業績」そのものであるとは書いていない。この予想は決算発表と同時に出された会社計画であり、期初の会社側見通しが保守的になるのは毎度のこと、当たり前のことである。

投資環境としては、好転している。米朝首脳会談の日程・場所も決まり、米国でもインフレが加速せず金利上昇で株価が崩れる懸念は後退している。ダウ平均は6日続伸で年初の水準を回復した。VIX指数も13.2と200日の移動平均を下回ってきた。

これまで株価が上昇したのは単純に景気が良かったからという要因があり、その株高基調が崩れたのは景気が悪化したからだと述べた(「相場の弱さと、その中に見る光明」「弱いながらもなんとか堪えている」等)。来週発表されるGDPは9四半期ぶりマイナス成長が予想されているが、過去の数字と割り切ることが大切だ。1-3月期は天候要因などもあって弱かった。ここから先は回復していくだろう。

昨日発表された4月の景気ウオッチャー調査によると、2~3カ月先の景況感を示す指数は50.1と前月から上向いた。半年ぶりの改善である。街角景気は昨年秋にピークアウトし、その後年明けから景気動向指数などが大きく落ち込んだ。この先行性は信頼感がある。

まとめると、海外の投資環境も落ち着き、国内景気も悪化から抜け出す兆しが見え、そして何より企業業績は悪くない。高く評価しろとは言わないが、過去平均並みに評価できない理由はどこにもない。低い評価しかできないのは不自然であって、不自然なことも往々にして起こるが、不自然な状態は長くは続かない。いずれ自然な状態に戻るだろう。

2週間前

とあるニューヨークのヘッジファンドは日本株をどう見ているのか

ゴールデンウィークに米国に出張

4月30日~5月5日の約1週間、ニューヨーク2日間・サンフランシスコ2日間・オマハ2日間という日程で米国に出張してきました。ニューヨークではヘッジファンドや世界的に著名な運用会社の訪問、現地でアナリストとして働く日本人のインタビューなどを実施しました。サンフランシスコではシリコンバレーの企業訪問、オマハではウォーレン・バフェットの経営するバークシャー・ハサウェイの株主総会の取材などを行いました。米国で得た知見を少しずつレポートやウェブサイトのコンテンツなどで皆様にお伝えしていきたいと思います。本日の銘柄フォーカスでは、ニューヨークのヘッジファンドで行ったインタビューについてレポートします。インタビューは現地の4月30日に実施しました。匿名を条件にレポートで紹介するご許可をいただいています。

ニューヨークで日本株を運用するヘッジファンド

今回インタビューを受けていただいたのは、ニューヨークを拠点にアジア株に投資しているファンドで日本株を専門に運用しているファンドマネージャーです。内需関連企業を中心に個別銘柄のロング・ショート戦略を採用し、割安な銘柄を"買い"割高な銘柄を"売り"で取引しています。以下、一問一答方式で私がした質問とファンドマネージャーの回答を記していきます。

Q.ファンドが目標としている絶対リターンはあるか?
投資家(資金の出し手)に約束している明確な目標値はないが、毎年二桁のプラスリターンを達成することは意識している。それを達成できない年が複数年続けば投資家に見放されてしまうだろう。幸い過去6年で年平均10数%のリターンを達成することができている。日経平均やS&P500の上昇率からすると物足りなく感じるかもしれないが、我々のファンドは平均すると7割ロング(買い)3割ショート(売り)というところなので、ショートを含めてこの数字が達成できていることはまずまずの成績ではないか。

Q.アベノミクスについての総合的な評価を教えてほしい。
日本経済や日本のマーケットに与えたマグニチュードはかなり大きいと考えている。特に評価しているのが、コーポレート・ガバナンス改革だ。日本企業に構造的変化を求めたものであり、例えば仮に安倍政権が退陣したとしても独立した社外取締役の起用が求められる流れは変わらないだろう。

Q.私(益嶋)はアベノミクス3本の矢のうち金融緩和が特に大きく株高に作用したと考えている。その点についてはいかがか?
もちろん金融緩和がこれまでの株価上昇に与えた影響は大きいだろう。ただ、今後の株価上昇に与える影響としては先ほど話したガバナンス改革のほうが大きいのではないか。

Q.足元の日本株全体の見通しを教えてほしい。
為替レートが横ばい圏で推移する前提に立てば、今年の年末の株価は今よりも上昇していると考えている。理由としては日本企業の業績がしっかりしていること、また日銀のETF買いインパクトが大きいことが挙げられる。例えば米大統領戦を控えていた2016年1月から10月までに外国人投資家は日本株を約6兆円売り越した。これは金額としては数十年ぶりの規模だった。しかし、現在日銀は1年間で6兆円程度ETFを購入することを表明しており、外国人投資家の数十年ぶりの売りを日銀が吸収できたことになる。これは日本株にフロアー(床、大底)があるようなものである。下値が堅いならば、当然上方向に行きやすいと考えられるだろう。

Q.現在日本では安倍政権の支持率が低迷している。もし仮に安倍政権が退陣することがあれば、マーケットにどのような影響があると考えているか?
「アベノミクス」というワードを知っている外国人投資家が「アベグジット」を嫌気して一旦売りに回るので、10%~20%程度下げてもおかしくないだろう。ただ、既に「アベノミクス」は外国人投資家の間でホットな話題ではない。アベノミクスが始まって数年間は確かに注目されていたが、現在は外国人投資家とミーティングしてもこちらから「アベノミクスでコーポレート・ガバナンスが改善された」などの話をしない限りほとんど話題に出ることもない印象だ。自民党政権が継続するならば、急激に日銀の金融緩和スタンスが変わる可能性も低いだろうし、下げたところは良い買い時になると思う。ただ、日本株全体(インデックス)を買いたいわけではなくあくまで優良企業の安値を拾いたいというスタンスだ。

Q.銘柄をロングする(買う)・ショートする(売る)ときの選定方法を教えてほしい。
ある程度流動性がある企業のうち200~300社程度をウォッチしている。決算短信や有価証券報告書から業績や財務を分析し、収支予想モデルを作成して割高・割安を探している。良く投資家に対して話すのは、4つのものを求めているということだ。その4つとは、「構造的変化」「市場の勘違い」「カタリスト(きっかけ)」「バリュエーション」である。
まず、「構造的変化」とは例えば「インバウンド」や「高齢化」といったものだ。これらはアベノミクスや日銀のスタンスにかかわらず日本社会に構造的な変化が起きたということだと思う。こういった変化に関連した銘柄を探している。
続いて2つ目が「市場の勘違い」だ。例えば「これから中国経済が大きく成長する」という仮説を元に、「中国でビジネスをやっている企業は儲かる!」という予想がたち「中国関連企業」が一斉に上昇するようなことがある。ただ、それぞれの銘柄を分析していくと本当に中国で成功して成長していけそうな銘柄と、実際は成長できなさそうな銘柄が混在しているものだ。我々は中国株を分析する部隊もいるので、協力しながら本当に成功しそうな企業とそうでない企業を見極めていく。
3つ目が「カタリスト(きっかけ)」である。我々が正しい予測を立ててポジションを取っていたとしても、我々は1年に1回決算を行っているため、1-2年程度のうちにそのシナリオが実現しないと意味はない。そのため、「決算発表」「自社株買い」「M&A」など何かしらのきっかけが一定期間内に実現しそうな銘柄を探している。
そして4つ目が「バリュエーション」である。どのような銘柄であろうとも、予想PERが30倍を超えてくるとなかなか買いづらい。当然だが我々はインサイダー情報を持っているわけではなく、できる限り「安く買って」「高く売りたい」というスタンスだ。魅力的な企業だが、PERが35倍で買えない・・というような場合にはもっと割安な企業を探すということになる。

Q.過去の投資がうまくいった例があれば教えてほしい。
2014年の夏頃に、良品計画(7453)を調査していた。当時は同社の中国ビジネスの行方について注目が集まっていた。彼らは中国ビジネスを拡大していく方針を表明していたが、利益を落とさずに本当にうまくいくのか市場の評価は定まっておらず予想PERは20倍程度だった。我々がリサーチしたところ、彼らは既に中国での旗艦店出店は終えておりそれらの衛星店舗を増やしていくことからそれほど利益を落とさずに成功していくだろうとの結論に至った。結果的にそのシナリオが実現し、その後の株価上昇にうまく乗ることができた。

Q.無印良品やユニクロはニューヨークにも出店しているようだが印象はどうか。
どちらも米国で本格的な成功を遂げるイメージは現在のところあまり持っていない。ただ、どちらもとても好きな優良企業である。

いかがだったでしょうか。日本株の見通しから個別銘柄の選び方まで多岐にわたる質問をしましたが、どの質問に対しても誠実に丁寧に、そしてとてもロジカルに回答いただきました。私のような金融機関のアナリストでも本場ニューヨークのヘッジファンドの方とお話する機会はほとんどありません。今回様々なお話をお聞きできとても貴重な時間を過ごすことができました。

お聞きしたマーケットの見通しや銘柄選びの方法が皆様の参考になれば幸いです。また、本レポートでご紹介した質疑応答以外にも米国株の投資魅力や日本の個人投資家にオススメする投資法についてもお話を聞きました。それらは近日中に別途ウェブサイトの最新情報等でお知らせする予定ですので、ぜひご覧ください。

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